印紙税のあり方について
税理士 林 俊一のコラム (第7回)
印紙税は、経済取引に伴う契約書や領収書などの文書を作成した際に課せられる税金です。
課税される文書は、印紙税法に定められており、別表第一の課税物件表に掲げる種類の文書です。
印紙税が創設されたのは古く、1873年(明治6年)のことです。この年は地租改正という土地制度改革があった年で、当時の租税は地租(土地に課される税金)に偏重していたため商工業の負担は軽く、一方農業に重く課せられることになっていたようです。
このため、農業と商業からの安定的な税収の確保を図るべく、租税制度を改廃、整理し商工業に課す租税として印紙税が導入されたようです。
このように歴史のある印紙税も経済取引の増大により、現在では印紙税に係る事務コストや税負担が、特に中小企業にとっては看過できない状況になってきているものと思われます。
また、近年の電子商取引の増大から、電子取引などに対しては文書課税であることから課税されないなど取引手段の選択によって課税の公平性が阻害されているとの指摘があります。
以上のようなことを踏まえてなのか、経済産業省より平成26年度税制改正要望として、
「印紙税のあり方の検討」という項目で、制度の根底から、そのあり方を早急に検討することが必要であるという改正要望がなされております。
廃止も含めた抜本的な議論がされることを期待し、行方を見守りたいものです。
札幌事務所 所長 税理士 林 俊一