使途不明金の税務上の取扱い
税理士 林 俊一のコラム(第99回)
通常、法人が支出した費用については、支出内容、支出の相手方、支出の時期等が明らかです。
しかし、費用として支出した金額のうち費途を確認できない場合に、税務上どのように取扱われることになるのでしょうか。
法人税と消費税について次のとおり取扱うこととされています。
《法人税》
法人税では、費用(交際費、機密費、接待費等)として支出した金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入できないこととされています。
これは、費途を確認することができない、いわゆる費途不明金について、これをそのまま税務上損金として認めると課税の公平が保たれなくなることからのようです。
《消費税》
消費税では、仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合には、仕入税額控除できないこととなっているため、費途が明らかでないものについて、仕入税額控除の規定を適用することができないことになります。
このように、使途不明金について法人税では費途がわからないから損金性が否定されることとなり、一方、消費税では所定の事項が記載された帳簿及び請求書等の保存がないという形式的なことで要件を満たすことにならないため仕入税額控除ができないということになっています。