同族会社等の行為又は計算の否認とは
税理士 林 俊一のコラム(第97回)
同族会社等に係る法人税について更正又は決定をする場合において「その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準等又は法人税の額を計算することができる。(法人税法132条)」という規定があります。
この規定は、同族会社等が少数の株主又は社員によって支配されているため、その会社の法人税の税負担を不当に減少させる行為や計算が行われやすいことに鑑み、税負担の公平を維持するため、その会社の法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われた場合に、これを正常な行為又は計算に引き直して、その会社に係る法人税の更正又は決定を行う権限を税務署長に認めたものです。
なお、「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」か否かは、専ら経済的、実質的見地において、その行為又は計算が純粋経済人の行為として不合理、不自然なものと認められるか否かという客観的、合理的基準に判断すべきと解されています。
この法令の適用要件は
① 同族会社等の「行為又は計算」が対象であること
② 上記①の行為又は計算を容認した場合には、法人税の負担を不当に減少させる結果となること
の2要件です。