法人が寄附金を支出した場合の取扱い
税理士 林 俊一のコラム(第90回)
法人税法上の寄附金とは、「寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をした場合におけるその金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は経済的な利益のその供与の時における価額による」とされています。
つまり、寄附金の性格を法人の事業の遂行と直接関係のない金銭(金銭その他の資産又は経済的利益)の贈与又は無償の供与として位置付けするとともに、その金額は時価により計算するということを明らかにしています。
このような寄附金を無制限に損金として認めた場合、本来課税されるべきはずの所得が寄付を通じて、税金の減少を招き、結果的に国が法人に代わって寄附をしたのと同じことになります。
このため寄附金は、企業会計上はその全額が費用となりますが、法人税法上は特定の寄附金を除き一定の限度額を超える金額は損金の額に算入されない(費用にならない)こととされています。
法人が支出した一般の寄附金については、次のようにその法人の資本金等の額、所得の金額に応じた一定の限度額までが損金に算入されます。
●一般の寄附金の損金算入限度額
(資本金等の額×当期の月数/12×2.5/1,000+所得の金額×2.5/100)×1/4
(注)所得の金額は、支出した寄附金の額を損金に算入しないものとして計算します。
なお、寄附金に関する損金不算入の規定は、昭和17年の税制改正において臨時租税特別措置法の改正により創設されました。
それ以前は、全額が損金として控除されていました。