支払者が債務免除等を受けた場合の源泉徴収
税理士 林 俊一のコラム(第89回)
給与等その他の源泉徴収の対象となるものの支払者が、源泉徴収の対象となるもので未払のものにつきその支払債務の免除を受けた場合には、原則として債務免除を受けた時においてその支払いがあったものとして源泉徴収をしなければならないこととなっております。
ただし、債務の免除が支払者の債務超過の状態が相当期間継続しその支払をすることができないと認められる場合に行われたものであるときは、源泉徴収をする必要はありません。
なお、支払者側の法人処理としては、「債務免除益」を計上することになります。
また、債務を免除した者については、その免除をした金額の回収ができないこととなった金額に対応する部分の金額は、その者の各種所得(事業所得、不動産所得、山林所得を除きます)の金額の計算上なかったものとみなされます。
したがって、過去の年分の所得が消滅することにより、納付すべき税額に変更が生じる場合には、課税減額の更正の請求をすることとなります。