従業員に食事を支給した時の課税関係
税理士 林 俊一のコラム(第84回)
会社で福利厚生の一環として従業員に対して食事の提供を行う場合があります。
このような、会社の負担額について従業員の課税関係(所得税)が気になるところです。
従業員に対する給与は、金銭で支給されるのが一般的ですが食事の現物支給や商品の値引き販売など物又はその他の経済的利益をもって支給されることがあります。
これらの経済的利益を一般に「現物給与」といい、原則として給与とされます。
しかし、食事の支給については、次の場合には給与として課税されません。
① 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担し、かつ、会社負担額が3,500円/月(税抜)以下の
場合
② 残業又は宿日直を行うときに支給する食事
③ 深夜勤務者に夜食の支給ができないために、1食あたり300円(税抜)以下の金額を支給する場合
【事 例】
1か月当たりの食事の価額が5,000円で従業員の負担金額が2,000円の場合
→①の食事の価額の半分以上を負担していませんので(食事の価額5,000円―従業員の負担金額
2,000円)=3,000円は給与として課税されます。
→課税されないためには、従業員に2,500円以上負担してもらう必要があります。
【食事の価額の計算】
① 仕出し弁当を取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額
② 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作る
ために直接かかった費用の合計額(水道代、ガス代等の間接費は入れない)