林 俊一 - ライブラリー

棚卸資産の評価損が計上できる場合

税理士 林 俊一のコラム(第83回)

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 棚卸資産の評価損については、税務上、原則として損金に算入できないこととなっています。
   しかし、次のような一定の事実がある場合には、損金経理により期末時価までの評価損の計上が認められています。

① 棚卸資産が災害により著しく損傷したこと

② 棚卸資産が著しく陳腐化したこと
 ※「著しく陳腐化したこと」とは、棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず、
 経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる
 状態にあることをいいます。
 例えば次のような事実です。
 ●売れ残った季節商品で、既往の実績等から今後通常の価額では、明らかに販売できなく
 なったこと
  季節商品とは、きわめて流行性が強いため、その時期に販売しなければ今後流行遅れとなって
 もはや通常の価額では販売できなくなるような性質の商品という意味です。
 ●型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたため、今後通常の方法によっては
 販売できなくなったこと

①又は②に準ずる特別な事実が生じたこと
 例えば次のような事実です。
 ●破損、型崩れ、たなざらし、品質変化等により通常の方法によって販売できなくなったこと

 なお、棚卸資産の時価が単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の理由で低下しただけでは評価損を計上することはできません。

 

札幌事務所 所長 税理士 林 俊一