支払者が源泉所得税を負担する場合の取扱い
税理士 林 俊一のコラム(第82回)
源泉所得税については、給与等の支払者(「源泉徴収義務者」といいます。)が支払いの際に源泉所得税を徴収し納付することとされています。
税務調査により源泉所得税の徴収漏れを指摘された場合、税務署は源泉徴収義務者から所得税を徴収する制度になっています。
この際、本来は給与等の支払を受けた者から源泉所得税を徴収し納付すべきですが、徴収せず徴収義務者が負担することとした場合には、所得税相当額について給与等の追加支払がされたものとして取扱われます。
この場合、納付した税額に相当する金額を税引き手取額により支払ったものとされます。
そして、その支払ったものとされる金額に対する税額は、税引手取額を税込の金額に逆算し、逆算した金額を当該源泉徴収の支払額として、源泉徴収税額を計算して納付することとなります。
源泉徴収漏れが生じますと、支払を受けた者から追加徴収すべきですが、現実的には徴収が難しい場面が多々あり、結果として徴収義務者が負担せざるを得ないケースがあるのではないかと思われます。
追加の経済的負担にもなることから、日頃から適切な源泉徴収を心がけたいものです。