使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例
税理士 林 俊一のコラム(第74回)
使途秘匿金とは、法人が支出した金銭の支出のうち、相当の理由がなく「その相手方の氏名又は名称」「住所又は所在地」「その支出事由(相手方の氏名等)」を、その法人の帳簿書類に記載していないものをいいます。
使途秘匿金の支出があった場合、その支出額に
40%の割合を乗じた金額の追徴課税が行われます。
これは、通常の法人税の額とは別に負担するもので、赤字法人であっても追加課税の税負担が発生します。
この制度は平成6年度の税制改正において創設されました。
企業が相手先を秘匿するような支出は違法ないし不当な支出につながりやすく、ひいては公正な取引を阻害することになると考えられるため、その支出を極力抑制する必要があることから創設されたものです。
これまで、この制度は租税特別措置法(措法62条)に規定され適用期限が毎回延長されてきましたが、平成26年度改正で適用期限が撤廃され恒久化することとされております。
この背景には、制度創設時に比べれば、この制度による追加課税額は減少していますが、引き続き相当数の企業において使途秘匿金の支出を行っている状況にあることから、恒久化へと改正されたようです。