社会保険診療報酬の所得計算特例
税理士 林 俊一のコラム(第36回)
医業又は歯科医業を営む個人、法人が所得計算をする際に、実際にかかった経費(実額経費といいます)に関わらず、社会保険診療報酬を次の4段階の階層に区分して、各階層の金額に概算経費率を乗じた額を社会保険診療に係る経費とすることができます。
これを、「社会保険診療報酬の所得計算特例」といいます。
社会保険診療報酬の金額 |
概算経費率 |
2500万円以下 |
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2500万円超―3000万円以下 |
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3000万円超―4000万円以下 |
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4000万円超―5000万円以下 |
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この特例を受けるためには ①年間の社会保険診療報酬が5000万円以下でかつ ②自由診療報酬と社会保険診療報酬の合計額(総収入金額といいます)が7000万円以下であることが必要です。
ここで総収入金額とは、医業活動から生ずる収益の額をいいます。
したがって、次の金額は含まれないこととなりますので、適用できるかどうかの判定の際には注意が必要です。
(1)国庫補助金、補償金、保険金その他これに準ずるものの収入
(2)固定資産又は有価証券の譲渡に係る収益
(3)受取配当金、受取利子、固定資産の賃貸料等営業外の収益
(4)貸与寝具、貸与テレビ、洗濯代等の収入
(5)医薬品の仕入割戻し
(6)電話使用料、自動販売機等の手数料収入
(7)マスク、歯ブラシ等の物品販売収入