無申告加算税が課されない場合があります
税理士 林 俊一のコラム(第35回)
期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告等によって本来納める税金のほかに「無申告加算税」が課されます。
無申告加算税は原則として、納付すべき税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
ただし、税務調査を受けたことによるものではなく、自主的に期限後申告書を提出した場合には、無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。
また、期限後申告であっても、期限内申告書を提出する意志があったと認められる場合として①法定申告期限から2週間以内に行われたものであり ②期限後申告書に係る納付すべき税額が法定納期限までに納付されており、かつ、期限後申告書の提出があった日の前日から起算して5年前の日までの間に無申告加算税又は重加算税を課されたことがない場合に該当するときには、無申告加算税が課されません。
今回、平成27年度税制改正で、上記の①の「法定申告期限から2週間以内に行われたもの」から「法定申告期限から1か月以内に行われたもの」に延長されるような改正が行われました。
この制度は、事務的なミスで期限内の申告を失念した場合に行政制裁を課すことは納税者の適正納税に対する意欲をそぐことを考慮して創設されたものです。
また、今回の改正の背景には、期限内納付があった法人税に係る期限後申告の事案で1か月以内の期限後申告の割合が多かったことによるもののようです。
なお、この改正は平成27年4月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されます。