林 俊一 - ライブラリー

結婚・子育てにも非課税贈与制度創設

                             税理士 林 俊一のコラム(第27回)

 
 平成27年度の税制改正により、子供や孫へ贈与をするときの非課税制度が
平成27年度から変わります。

「結婚・子育て資金」の支払に充てるため金銭等を拠出し、贈与者(祖父母、父母などをいいます)が銀行等に信託等をした場合に、その贈与について新たに1,000万円の非課税枠ができました。

新たな制度の内容は次のとおりです。
結婚披露宴.png
①受贈者の要件~ 20歳以上50歳未満
②適用時期~ 平成27年4月1日~平成31年3月31日の間に拠出されるもの
結婚・子育て資金の内容
・結婚に際して支出する婚礼費用(結婚披露宴含む)、住居に要する費用
・引越に要する費用のうち一定のもの
・妊娠・出産に要する費用、子供の医療費、保育料のうち一定のもの  
④住宅資金管理契約の終了時期
  イ 受贈者が50歳に達した時
  ロ 受贈者が死亡した時  
  ハ 信託財産の価額がゼロとなった場合において終了の合意があった時
⑤終了時の残額の取扱い
 上記④のイ又はハの事実があった日に残額に相当する金額の贈与があったものとして贈与税が課税される。  
⑥信託期間中に贈与者が死亡した場合
 贈与者の死亡の日における残額に相当する金額を贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、贈与者の相続税の課税価格に加算する。
 ただし、この残額に対応する相続税額については、2割加算の適用はない。

 以上ですが、この制度の一番のネックは⑥の贈与した本人が亡くなると残額が相続財産に加算されるというところです。
 したがいまして、相続税対策としてはあまりメリットがないのではと思われますが、子や孫が非課税の恩典を十分受けられるようにするためには、早めにかつ計画的に贈与することが大事となってきます。

                             札幌事務所 所長 税理士 林 俊一