美術品等の減価償却資産判断基準の見直し
税理士 林 俊一のコラム(第22回)
絵画や彫刻等の美術品等については、従来、次のような取扱がされていました。
①いわゆる美術関係年鑑等に登載されている者は、一応プロの作者として通用するものとみなし、その者の制作に係る書画、彫刻、工芸品等は、原則として減価償却資産には該当しないこととして取扱う。
②また、取得価額が1点20万円(絵画にあっては、号2万円)未満であるものについては、減価償却資産として取扱う。
これについては、今回、平成26年12月に法人税基本通達が改正され、次のように取扱いが変更となっています。
従来の①の基準が廃止されました。また②の基準については、1点100万円以上のものについて減価償却資産に該当しないとして金額基準の引上げが行われました。
なお、絵画についても号当たり2万円の基準を廃止して他の美術品等と同様、1点100万円以上で判断することとされました。
このため、一定の美術品等については、今後、償却費として損金算入できることとなります。
この背景には①著名な作家であっても美術関係の年鑑等に掲載されていない者が多く存在することなどから、必ずしも年鑑等により掲載されているかどうかにより判断することが妥当とはいえない点 ②市場による一定の評価を得ることができるかどうかは、一般に作品の価格が100万円を超えるかどうかで評価することができるといった専門家の意見等を踏まえ、改正に至ったようです。
なお、適用時期は平成27年1月1日以後に取得をする美術品等について適用します。
ただし、以前に取得し、現在、非減価償却資産として管理している美術品等について、改正後の通達に従って判定した結果、減価償却資産として取扱うことができるものについても、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度から減価償却資産として償却することが認められます。
札幌事務所 所長 税理士 林 俊一