医療費を支払ったとき戻る税金
税理士 林 俊一のコラム(第21回)
高齢化社会の到来とともに医療費も年々多額になってきているようです。
ところで医療費を多額に支払ったときに確定申告を行うことで納めた所得税が還付される場合があります。
控除の対象となる医療費控除額は次のように計算されます。
〔Aその年中に支払った医療費〕―〔B保険金などで補填される金額〕―〔C10万円又は所得金額の5%のどちらか少ない額〕=〔医療費控除額(最高200万円)〕
(注)保険金などで補填される金額とは、生命保険契約などの医療保険金、入院費給付金や社会保険などから支給を受ける療養費などです。
上記の算式のうちCは10万円又は所得金額の5%のどちらか少ない額ということですから所得金額が200万円以上ある方ですとその年中に支払った医療費から10万円を控除した残額が医療費控除額となるわけです。
お客様で支払った医療費の額が10万円に満たない場合に「いくら税金が戻るの」と質問されるケースがありますが、税金として還付される金額がないことになります。
なお、医療費控除額は所得控除の一種でこの金額が還付されるわけではありません。
参考までにサラリーマンの所得税の計算方法は次の順序で行います。
※サラリーマンの所得税の計算方法
1.給与収入―給与所得控除(給与収入に応じて一定額)=給与所得金額
2.給与所得金額―所得控除(医療費控除、配偶者控除など一定額)=課税所得金額
3.課税所得金額×税率(課税所得金額に応じて5%~40%)=所得税額(1年間に納める所得税)
札幌事務所 所長 税理士 林 俊一