少人数私募債における利子の課税関係の変更
税理士 林 俊一のコラム(第20回)
少人数私募債については、その社債利息は「源泉分離課税」により20%の源泉徴収で完結し
ますので、他の所得と合算する総合課税の対象となりませんので、税務上のメリットがあること
とされていました。
※少人数私募債とは
会社が事業資金を調達する手段として発行する「社債」で、少人数の取引先や同族関係者から
直接 資金を募るものです。
平成25年度税制改正において、節税対策として行われている「少人数私募債」に対する
規制の一環として、平成28年以後発行分については、総合課税とすることとされました。
ところが、この改正は平成27年12月31日までに少人数私募債を発行すれば、平成28
年1月1日以後に支払われる利子についても分離課税(20%)の税率が適用されるものでした。
このため、平成27年12月31日まで少人数私募債を発行し、償還期間を長期間に設定し
た少人数私募債を発行しようという動きが出始めたようです。
このような動きを封じ込めるため、平成26年度税制改正において、平成28年1月1日以後に
支払われる利子については、「総合課税」とすることとされました。
税制改正の対応も素早かったようです。
札幌事務所 所長 税理士 林 俊一