離婚に伴う居宅の財産分与
税理士 高橋 徹 のコラム(第35回)
夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与といいます。
財産分与が土地や建物などで行われたときは、離婚により生じた財産分与義務の履行として行われるものですから、財産分与義務が消滅するという経済的利益を対価とする譲渡となり、譲渡所得の課税が行われることになります。
この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となります。
ところで、居住用財産を譲渡した場合には3,000万円の特別控除の特例がありますが、この特例は譲渡の相手方が、配偶者、直系血族及びその他特別な関係がある者の場合には適用されないこととされています。
しかし、離婚に伴う財産分与は離婚後の譲渡であって配偶者に対する譲渡に該当するものではないため、分与した財産が居住用家屋とその敷地である場合には3,000万円の特別控除の特例が適用されることとなります。
一方、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。
したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。