相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除
税理士 高橋 徹 のコラム(第36回)
核家族化や高齢化社会が進行している昨今、一人暮らしの老親の死亡後に相続人が使う見込みのない古い住宅を空き家として放置し、それが周辺の生活環境に悪影響を与えるという、増え続ける空き家が問題となっています。
このことを未然に防止するため、被相続人が居住していた空き家と敷地を売却しやすくする「相続した空き家を売ったときの3,000万円特別控除」の特例があります。
制度の適用要件としては
① 相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること。
② 特例の適用期限である2016年4月1日から2023年12月31日までに譲渡すること。
③ 被相続人が相続直前まで当該家屋に居住していたこと。
④ 相続の直前において、被相続人以外の居住者がいなかったこと。
⑤ 相続の時から譲渡の時まで、事業、貸付け、又は居住の用に供されていないこと。
⑥ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く。)であること。
⑦ 譲渡価額が1億円以下であること。
⑧ 家屋付きで譲渡する場合、譲渡する時点で一定の耐震基準を満たすものであること。
⑨ 親子や夫婦など特別の関係がある人への譲渡でないこと。
⑩ 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の特別控除など他の特例の適用を受けていない
こと。
また、一定の要件を満たせば被相続人が老人ホーム等に入所していた場合も特例の対象となります。
2019年4月1日以後の譲渡に対して拡充された取り扱いですが、詳しい適用要件は国税庁タックスアンサー№3307をご覧ください。