配偶者居住権の創設
税理士 高橋 徹 のコラム(第16回)
平成30年の民法改正に伴い、「配偶者居住権」が創設されることになりました。
具体的には、配偶者が相続開始時に居住していた被相続人の所有建物を対象として、終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める法定の権利を新設し、遺産分割における選択肢の一つとして、配偶者が配偶者居住権を取得することができるというものです。
これまで相続が開始しますと配偶者は、遺産分割における相続分の関係から、住み慣れた住居を売却して住む家が無くなったり、家を財産として受け取ることができても現金をほとんど相続できないなどの問題を抱えていました。
そのため、建物についての権利を「負担付の所有権」と「配偶者居住権」に分け、遺産分割の際などに、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付の所有権」を取得することができるようにしました。
配偶者居住権は自宅に住み続けることができる権利ですが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に貸したりすることができない分、評価額を低く抑えることができます。このため、配偶者はこれまで住んでいた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く相続できるようになり、配偶者のその後の生活の安定が図られます。
新制度の周知や準備に要する期間を考慮し、配偶者居住権の施行日は2020年4月1日となっています。