個人版事業承継税制の創設
税理士 高橋 徹 のコラム(第17回)
平成31年度の税制改正により、政府は個人事業者についても円滑な世代交代を通じた事業の持続的な発展の確保が必要であると判断し、個人事業者の事業承継を促進するため、10年間限定で事業用資産の承継に係る相続税・贈与税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」を創設しました。
具体的には、
① 多様な事業用資産が対象
事業を行うために必要な多様な事業用資産が対象となります。
○土地・建物(土地は400㎡、建物は800㎡まで)
○機械・器具備品(工作機械・
パワーショベル・ 診療機器等)
○車両・運搬具
○無形償却資産(特許権等)等
② 相続税だけでなく贈与税も対象
生前贈与による早期の事業承継の
準備を支援します。
③ 納税額の全額(100%)が納税猶予
後継者の承継時の現金負担がゼロになります。
今回の改正は、平成31年1月から平成40年12月までの10年間に限定した特例措置 となっていますので、有効に活用したいものです。
なお、既存の事業用小規模宅地の特例とは選択適用となりますので、特例の活用を検討される方は専門家へ相談されることをお勧めします。