相続人が受け取る所得税還付金と未支給年金
税理士 高橋 徹 のコラム(第10回)
夫の死亡後に所得税の準確定申告書を提出し還付金を受領している場合と、
夫が生前に支給を受ける予定であった未支給年金を請求し年金を受け取った場合を検討します。
1 所得税の還付金
所得税の還付請求権は本来の相続財産であり、
相続税の課税対象となります。
還付請求権は被相続人の死亡後に発生するとしても、被相続人の潜在的な請求権が被相続人に帰属しており、これが被相続人の死亡により顕在化したものと考えられるからです。
(注)後期高齢者医療保険料や介護保険料の還付金なども相続財産に該当します。
2 未支給の年金
死亡したときに支給されていなかった年金を遺族が請求し支給を受けた場合は、
その遺族の一時所得(所得税)の対象となり、相続税は課税されません。
未支給年金が相続財産になるのか、ならないのか長らく議論がありましたが、最高裁が判決を出しその相続性を否定しています。
判決理由は、未支給年金については請求できる人が法律(国民年金法、厚生年金保険法等)で決まっており、民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは異なった定め方をしている。
これは被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場をとっているためとしています。