「広大地」評価の見直し~その2
税理士 高橋 徹 のコラム(第5回)
6月に掲載したコラムで、広大地について評価方法の改正が予定されており、評価額が上がると想定されたため、そのような広大地を所有している場合には、「相続時精算課税制度」を利用する節税策があるとお伝えしました。
10月5日、改正された財産評価基本通達が公表され、「広大地の評価」を廃止した上で新たに「地積規模の大きな宅地の評価」という規定が創設されました。
結果は予想していたとおり、整形地に近い広大地の場合はかなり評価額が高くなるものとなっています。
次の計算例のような1㎡あたり10万円の土地を2000㎡所有する場合の評価額は通常計算だと2億円ですが、広大地補正率を適用すると1億円と半減します。
ところが、広大地補正率に代わって新設された「規模格差補正率」によれば評価額は約1億3500万円となり、旧通達を適用した評価額のほぼ1.35倍となります。
(土地の形状等に基づく補正率も併用できることとなったため、計算例では奥行価格補正率も適用しています。)
(例)三大都市圏以外の地域にある普通住宅地区に所在する1㎡あたり10万円の土地を2000㎡(間口40m、奥行50m)所有する場合の評価額(通常計算だと2億円)
(改正前)
(広大地補正率)
10万円 × (0.6-0.05×2,000㎡÷1,000㎡) × 2,000㎡ = 1億円
(改正後)
(奥行価格補正率) (規模格差補正率)
10万円 × 0.89 × {(2,000㎡×0.90+100)÷2,000㎡×0.8} × 2,000㎡ = 1億3528万円
この改正は平成30年1月1日以降に開始する相続・贈与に適用されますので、平成29年中に「相続時精算課税制度」を活用して贈与すれば、現行の広大地評価による低い評価額で相続できることとなります。
専門家へ相談されることをお勧めします。