生前贈与による相続税対策
税理士 高橋 徹 のコラム(第3回)
相続税の軽減を図る方策として生前贈与を活用する方法がよく提案されますが、その際の留意点をお話します。
⑴ できる限り多くの親族に、長期間かけて贈与
贈与の相手を分散し、かつ、贈与の年分を分けて贈与するほど、贈与税の実効税率を低く抑える
ことができ、対策の効果が上がります。
⑵ 孫へ世代を飛ばして贈与
孫が相続をすると相続税では税額の2割
加算がありますが、贈与税には割増が
ありません。
また、孫にも贈与税の特例税率が使え
ます。
さらには、将来、子が亡くなった際の相続
税対策にもなります。
⑶ 資産の評価額を下げてから贈与
贈与税の負担を軽減でき、対策の効果を
上げることができます。
⑷ 高収益な資産や将来値上がりしそうな資産を贈与
贈与者が本来は得るはずだった収益や値上がり益を受贈者に移転できますので、
財産を直接減らすとともに、贈与者の資産の増加を止めることができます。
また、相続人となる者の将来の納税資金の確保にもつながります。
⑸ 小規模宅地等の特例の最適地以外を贈与
小規模宅地等の特例の最適地以外の資産を贈与し、最適地を贈与せずにとっておくと、
相続が発生した際において小規模宅地等の特例をフルに活用することにより相続税を
軽減できます。
⑹ 贈与した資産は確実に受贈者のものに
贈与したことを明確にするため、
①贈与契約書を取り交わす。
②登記・名義書換等の必要なものは確実に実施する。
③現金は受贈者が普段使っている預金口座に振り込む。
④預貯金、有価証券等は、受贈者が自己の責任で管理・運用する。
⑺ 贈与税の申告を行う
受贈者が自ら贈与税の申告と納税をし、申告書の控を確実に保管する。
生前贈与を上手に活用したいものです。