「広大地」評価の見直し
税理士 高橋 徹 のコラム(第2回)
広大地とは、その地域の標準的な宅地に比べて著しく大きな宅地で、都市計画法に規定する開発行為を行う際に公共公益的施設用地の負担が必要となるものをいいます。
その広大地について、平成29年度の税制改正大綱で評価方法の改正が盛り込まれました。
実務の上では、広大地に該当するか否かの判断はなかなか難しいことから、税務当局から広大地評価を否認された場合の加算税や延滞税を危惧して、当初の申告では広大地を適用せずに申告し、後日、更正の請求を提出して広大地の適用を求めるようなケースもあります。
これは、通常の土地は土地の形状などを考慮したさまざまな補正率をもとに評価するのに対し、現行の広大地の評価は広大地に該当した時点で面積に応じて劇的に評価が下がる評価方法であることと、その適用要件が必ずしも明確でないことに基因します。
今回の税制改正大綱では「現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直すとともに、適用要件を明確化する」としており、まだ具体的な評価方法は示されていませんが、通常の土地の評価方法に近づくことが予想されます。
関連法案が成立すれば、この改正は平成30年1月1日以降に開始した相続・贈与に適用される予定です。
通常、相続税が課税される方にとっては、節税目的の生前贈与に向かないといわれる「相続時精算課税制度」がありますが、この制度で贈与した財産は相続の発生時、贈与した当時の評価額で相続税を計算することになっています。
法改正により評価額が上がることとなる広大地を所有している場合、「相続時精算課税制度」を利用し、平成29年中に広大地を贈与すれば、現行の広大地評価による低い評価額で相続できることとなります。
評価方法がどの程度変更されるのかを注視していく必要があります。