所得税のかからない所得について
税理士 柏樹 正一のコラム(第36回)
所得税は、個人がその年の1月1日から12月31日までの1年間に得たすべての所得に課税されるのが原則ですが、社会政策その他の理由によって課税されない所得があります。
また、本来課税されるべきものであっても、産業政策その他の見地から特別の取扱いとして所得税が免除されるものがあります。
前者を非課税所得、後者を免税所得といいます。
非課税所得は、所得税の計算を行う上でその所得がなかったものとして取り扱われますので、原則として申告や申請等の手続をする必要はありません。
これに対して、免税所得は、本来ならば所得として課税されるべきものですので、申告や申請等の手続をした上で所得税が免除されることになります。
免税所得として、一定の要件に当てはまる肉用牛の売却による農業所得があります。
肉用牛の売却による免税制度とは、肉用牛生産農家の経営体質を強化し、国産牛肉の安定的な供給を図っていく観点から措置されているもので、家畜市場、中央卸売市場、農林水産大臣が認定した食肉卸市場などで肉用牛を売却したとき、売却証明書が発行され、その売却証明書を確定申告時に提出することにより、1頭当たり100万円(交雑種80万円、乳用種50万円)未満であれば、年間の売却頭数が1,500頭まで、所得税及び住民税が免除されるというものです。
非課税所得については、次回以降紹介します。