柏樹 正一 - ライブラリー

個人と法人における減価償却の違い

                                 税理士 柏樹 正一のコラム(第17回)

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 減価償却について、個人と法人では必要経費・損金に算入される金額に違いがあります。

 個人の減価償却は、所得税法で定める償却費が自動的・強制的に必要経費に算入され、過大な償却ができないのはいうまでもありませんが、過少な償却については追認されます。

 従いまして、償却費の計算を失念していた場合や少なく計算していた場合には、更正の請求の対象となります。

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 一方、法人の減価償却は、法人税法で定める償却限度額の範囲内で損金経理した金額が損金に算入され、過少な償却はそれを容認し、その部分は帳簿価額として次年度以降に繰り越され、以後の年度で償却していくことができます。

 つまり、個人の場合は、これだけの金額を償却費に計上しなさいという命令額であるのに対して、法人の場合は、ここまでの金額なら償却費を計上してもいいですよという限度額であるといえます。

 このようなことから、個人は「強制償却」、法人は「任意償却」と呼ばれています。

 所得税と法人税におけるこのような取扱いの違いは、個人と法人の記帳水準の差や法人は配当対策として利益の調整があることなどによるものといわれています。

                          札幌事務所 副所長 税理士 柏樹 正一