加算税制度の見直し
税理士 柏樹 正一のコラム(第13回)
国税の加算税は、申告又は納付の義務違反に対する行政制裁として課されるものですが、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについて、悪質な行為を防止する観点及び当初申告のコンプライアンスを高める観点から、次の2つの制度が導入されます。
1 無申告又は仮装・隠ぺいを繰り返した場合の加算税の加重制度の導入
従来、無申告加算税の割合は原則として15%(納付すべき税額が50万円を超える部分は20%)で、重加算税の割合は、過少申告加算税又は不納付加算税に伴うものは35%、無申告加算税に伴うものは40%でした。
これらの税率は、無申告又は仮装・隠ぺいが行われた回数にかかわらず一律でしたが、過去5年以内に無申告加算税(調査を経たものに限る)又は重加算税を課された者が、再び「無申告又は仮装・隠ぺい」に基づく修正申告書の提出等を行った場合には、それぞれの加算税の割合が10%加重されます。
2 事前通知後の加算税制度の導入
従来、調査による更正又は決定を予知しないで修正申告した場合には過少申告加算税は課されず、期限後申告等した場合には無申告加算税は5%に軽減されていました。
そして、調査の事前通知後、調査が開始される前に修正申告又は期限後申告した場合にも加算税の不適用又は軽減措置が適用され、その間に多額の修正申告又は期限後申告を行うことにより加算税の賦課を回避しているケースがあったので、これらの場合には、過少申告加算税の割合は5%、無申告加算税の割合は10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%)とされます。
加算税は、本来納付すべき税額に上積みとなるものですので、適正な申告と納税に心がけたいものです。