不動産所得 事業的規模と業務的規模の違い!
税理士 柏樹 正一のコラム(第12回)
土地や建物等の不動産の貸付による所得は、不動産所得になります。
所得税では、不動産所得を生ずべき業務が事業として行われているか否かによって、所得金額の計算の取扱いが異なります。
不動産の貸付けが事業的規模か否かは、原則として社会通念上事業的規模に該当するかどうかによって実質的に判断しますが、
建物の貸付けについては、
①貸間、アパート等についてはおおむね10室以上又は、②独立家屋についてはおおむね5棟以上であれば、原則として事業として取り扱われています。
そして、事業的規模かそれ以外(業務的規模)かの別によって、次のような所得金額の取扱いの違いがあります。
① 賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失について、事業的規模の場合は、その全額が必要経費に算入されますが、業務的規模の場合は、その年分の資産損失の金額を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。
② 賃貸料の貸倒れによる損失について、事業的規模の場合は、その損失が生じた年分の必要経費に算入されますが、業務的規模の場合は、収入金額に計上されていた年分にさかのぼって収入金額から減額されます。
③ 青色申告の事業専従者給与又は白色申告の事業専従者控除について、事業的規模の場合は適用がありますが、業務的規模の場合は適用がありません。
④ 青色申告特別控除について、事業的規模の場合は一定の要件の下で最高65万円が控除できますが、業務的規模の場合は最高10万円の控除となります。