「接待飲食費」について
税理士 古御堂 弘のコラム(第15回)
5月21日掲載のブログで、交際費等の損金不算入制度の改正についてお知らせしました。
今回は50%損金算入が認められる「接待飲食費」について説明します。
1.交際費等の区分管理が必要
平成26年4月1日から平成28年3月31日までに開始する事業年度においては、
大法人・中小法人を問わず、「接待飲食費」についてはその50%を損金算入することが
できるようになりました。
中小法人に関しては損金算入限度額800万円の一般交際費課税枠か新制度のどちらかを
選択適用ができますので、どちらが有利かの判断が重要となります。
また、「接待飲食費」「一人当たり5,000円基準の飲食費」「社内飲食費」「寄付金」
「福利厚生費」等の区分をしっかりしなければなりません。
2.「接待飲食費」とは
接待飲食費とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のため要する費用であって、
帳簿書類により飲食費であることが明らかにされているものをいいます。
したがって、専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待のために
支出するいわゆる「社内飲食費」は除かれます。
3.「接待飲食費」の範囲
次のような費用は社内飲食費を除いて「接待飲食費」に該当します。
①自己の従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
②飲食等のために支払うテーブルチャージ料やサービス料等
③飲食等のために支払う会場費
④得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差し入れを行うための「弁当代」
⑤飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」
4.「接待飲食費」に該当しない費用
次に掲げる費用は「接待飲食費」に該当しません
①ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
②接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
③飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
5.社内飲食費に該当しない費用
①親会社の役員等やグループ内の他社の役員等に対する接待等のために支出する飲食費
②同業者同士の懇親会に出席した場合や得意先等と
共同で開催する懇親会に出席した場合に支出 する
自己負担分の飲食費 相当額
6.帳簿書類への記載事項
総勘定元帳や飲食店等から受け取った領収書、
請求書に次の事項を記載して、7年間保存しなければ
なりません
①飲食等のあった年月日
②飲食等に参加した得意先、仕入れ先その他事業に
関係ある者等の氏名又は名称及びその関係
(例) 「○○会社・□□部、△△▼(氏名)部長他3名、
卸売先」
③飲食費の額並びに飲食店、料理店等の名称及び所在地
④その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
7.中小法人から除かれる法人
資本金1億円以下の中小法人であっても800万円の定額控除は適用できません。
①資本金5億円以上の大法人に発行済み株式を100%所有(完全支配関係)されている法人
②二つ以上の大法人に完全支配されている法人
※少々手数は掛かりますが、節税のために帳簿書類へ「飲食費」であることの記載を
心掛けましょう。
苫小牧事務所 所長 古御堂 弘