配偶者控除の見直し
税理士 古御堂 弘のコラム (第14回)
労働人口が減る中で、女性が活躍する場を広げ、経済活性化につなげようとの狙いから、安倍首相は成長戦略の改定に当たって「女性の就労拡大を抑制する税・社会保障制度の見直し」を指示しました。
これを受けて政府税制調査会では、「103万円の壁」といわれている主婦や妻がパートで働く世帯の所得税を軽減させる「配偶者控除」の見直しをしました。
配偶者控除制度は、妻のその年の給与収入金額が103万円以下であれば、本人が所得税を負担する必要はなく、夫の課税対象となる所得から一律38万円が差し引かれ、夫の所得税が軽くなる制度です。
さらに、夫の所得が1000万円以下の場合は特例があり、妻の年収が103万円を超えても141万円未満であれば妻の収入に応じて最大38万円を夫の所得から減らせる「配偶者特別控除」もあります。
また、「配偶者控除」の対象となる妻に限り家族手当を支給する会社もあり、世帯収入への影響は大きいことから、103万円を超えないように勤務を調整するパート主婦が多いのです。
政府税制調査会では「夫婦二人で受けられる控除の合計額が同額となるような(家族控除案)の仕組み」や「課税単位を現在の個人から世帯に変える(世帯課税案)」などの論点整理案を示しました。
しかし女性の就労拡大は「税制のみで問題解決を図ることは困難で、社会保険制度や企業の家族手当制度の見直し、保育所の待機児童問題の解消など総合的な取り組みが不可欠」とし、引き続き幅広い検討を進めるとの結論を先送りしました。
しかし女性の就労拡大は「税制のみで問題解決を図ることは困難で、社会保険制度や企業の家族手当制度の見直し、保育所の待機児童問題の解消など総合的な取り組みが不可欠」とし、引き続き幅広い検討を進めるとの結論を先送りしました。
最終決着は年末の税制改正論議に持ち越されそうです。
苫小牧事務所 所長 古御堂 弘