100年企業をめざす「事業の承継」(第85回)
86.役員選任権付種類株式の活用方法を教えてください。
POINT
1 ► 役員選任権付種類株式の活用の仕方 |
◎ ———— 役員選任権付種類株式の活用の仕方
役員選任権付種類株式とは、この株式を持っている株主が株主総会を開催し、取締役または監査役を選任することができる株式です。
この株式を発行した場合に、株主総会では取締役および監査役の選任はできなくなります。
この株式の活用方法として、次が挙げられます。
① 経営者が自らの立場を保持するため
経営者が役員選任権付種類株式を保有し、役員の選任をコントロールする
ことで、後継者の暴走を牽制することができます。
この株式を経営者が後継者に譲れば、経営者が亡くなり相続の発生に伴い
株式分散が生じた場合でも、後継者が役員選任権を持っているため、企業の
指導権を握ることができます。
② 従業員の士気を高める
例えば、取締役が5名と定めた企業で、発行する株式が普通株式と役員選任権
付種類株式の場合に、定款で通常株主総会で3名の取締役を選任し、種類株主
総会で残り2名の取締役を選任すると設定します。
企業に貢献し一定の条件を満たした従業員に、この役員選任権付種類株式を持
たせます。
そして、役員選任の議決権を行使します。これにより、同族で取締役を固めながら、
従業員が選任した役員も抜擢することができます。従業員の士気も高め、企業の活性化にもつなげ
ることが期待できます。
ただし、経営者の意思に沿わない役員が選任される可能性があります。
その場合は、取得条項付きの種類株式と併用して、一定の事由が生じた時に役員
選任権付株式を買い戻せるようにして、通常の株主総会で解任できる準備も必要
かもしれません。
次回タイトル
【黄金株ってよく耳にしますが、どんな活用方法がありますか?】
H28.9.1 更新予定です。 どうぞお楽しみに!