100年企業をめざす「事業の承継」(第86回)
87.黄金株ってよく耳にしますが、どんな活用方法がありますか?
POINT
1 ► 黄金株式の活用の仕方 |
2 ► 黄金株の評価 |
◎ ———— 黄金株式の活用の仕方
拒否権付株式(黄金株)は、経営上の一定の重要事項に対して、たとえ1株でも
拒否権をもつ株式です。事業承継では、この黄金株を次のように活用できます。
① 後継者以外の法定相続人が経営に割り込まないように、後継者に黄金株を持たせる。
② 後継者が未熟な時など、先代経営者が黄金株を持ち、重要な意思決定について判断をくだす。
黄金株は事業承継において、有効な活用ができます。
しかし、この株式は株主総会の議決に対し拒否する権利です。
先代経営者がこの黄金株を持っていた場合は、多数株主となった現経営者と意
見が対立し、意思決定が遅れ大事な取引に支障が出ることなども予想されます。
この黄金株は後継者が育った時に、消滅できるように取得条項付株式を組み合わせるといいでしょう。 主な目的は、次になります。
① 先代経営者が、黄金株の所有に期日を設けることで、後継者の自立を促すことができる
② 先代経営者が亡くなった時に黄金株の消滅を設定することで、法定相続人の間で、黄金株を
めぐる争いがなくなる
さらに、黄金株と譲渡制限種類株式を組み合わせることで、先代経営者が持つ
黄金株の相続について、後継者を指定して相続させることが可能になります。
◎ ———— 黄金株の評価
拒否権付株式(黄金株)の評価は、拒否権を考慮せずに評価します。したがって、普通株式と同様に評価することになります。
黄金株は、後継者の支配権・経営権の安定と、経営者が引退後に後継者を監視するために活用します。そして、その強力な力を持つ株式を後継者に相続させても、その分の相続税が増える訳ではありません。円滑な事業承継計画の一つとして、検討する項目でしょう。
次回タイトル
【議決権制限株式の活用方法を教えてください】
H28.9.15 更新予定です。 どうぞお楽しみに!