法人が資産を無償譲渡した場合の法人税の取扱い
税理士 林 俊一のコラム(第110回)
法人が自社で所有する資産(機械、車両等)を、関連会社に無償譲渡した場合には、法人税法上、時価で取引したとされます。
法人税法22条第2項では、益金に算入すべき額を次のとおり規定しております。
「所得の金額の計算上、益金に算入すべき金額は、・・・無償による資産の譲渡又は役務提供、無償による資産の譲受け・・・に係る収益の額とする」とされています。
資産の無償譲渡により経済的利益を供与した額(対価の額と時価との差額)については、益金の額に算入するとともに、その額を関連会社に寄付したという処理がなされます。
つまり、資産の譲渡又は役務の提供があった場合には、時価を基準として課税関係を律することになります。
以上を事例で説明します。
※ 簿価3,000,000円 時価2,000,000円の車両を関連会社に無償譲渡した場合「税務上の仕訳」は
次のとおりとなります。
(借)未収金 2,000,000 (貸)譲渡収益2,000,000
譲渡原価3,000,000 車両 3,000,000
(借)寄附金 2,000,000 (貸)未収金 2,000,000
このように法人税では、①最初に時価で有償取引があり収益が生じ ②次にその代価を相手方に寄付したとされるわけです。(いろいろな説があります)
なお、寄附金とされた額は、寄附金損金算入限度額がありますので、その額を超える部分は損金不算入とされます。
一方、無償で贈与を受けた関連会社は、2,000,000円の受贈益を収益計上することになります。