未成工事支出金に係る消費税の取扱い
税理士 林 俊一のコラム(第101回)
法人税では、建設工事等に係る請負による損益は、原則として目的物の全部が完成し、相手方に引き渡した日に収益を計上します。
一方、建設途上の工事完成までに要した費用については、「未成工事支出金」として、棚卸資産に計上し、目的物完成引渡時に完成工事原価に振り替えて損金算入します。
これに対し、消費税にあっては、その工事費用が完成工事原価としていつ費用計上されるかは関係なく、工事完成前に支払った工事費用を未成工事支出金として経理した場合でも、その課税仕入れの時期は、原則として、資産の引渡を受けた時又は外注先又は下請先の役務が完了した時に仕入税額控除の対象とすることができます。
以上が原則的な取扱いですが、経理実務においては、未成工事支出金勘定は一種の仮勘定であり、工事が完成した時点で一括して完成工事原価に振り替えられるのが一般的です。
このような実務面を考慮して、継続適用を条件として、建設工事等に係る目的物が完成して相手方に引き渡した日に、未成工事支出金勘定として処理された課税仕入れにつき課税仕入れがあったものとして取扱うことができることとされています。
すなわち、これは法人税や企業会計の収益・費用の計上時期と合わせるという実務上の取扱いを認めることとされたものです。