移転価格税制について
税理士 林 俊一のコラム(第71回)
初めて聞かれた方もおられると思いますが、日本の税制で昭和61年に導入されたものです。
移転価格制度は、国内の企業が国外にある子会社等(国外関連者といいます。)と取引を行う際に第三者との通常の取引価格(独立企業間価格といいます。)とは異なる価格を用いたことにより、その国内の企業の所得が減少されている場合、その取引価格を独立企業間価格に置き直して課税所得を再計算する制度です。
例えば、国内にある親会社が外国にある販売子会社に対して独立企業間価格より低い価格で製品を輸出(売上)しているような場合には、外国の販売子会社から消費者に販売する際の価格が同じであるとすれば、親会社の所得は通常より圧縮されその分だけ外国子会社の所得が増大することになります。
このような場合、実際の取引価格と独立企業間価格との差額分に対応する所得が親会社で増額され課税する仕組みです。
このままですと、二重課税になりますので、当事者からの申立に基づき、両国の税務当局間で「対応的調整」を行うこととされています。