消費税の軽減税率制度その3
税理士 林 俊一のコラム(第65回)
軽減税率制度の実施に伴い、消費税等の税率が軽減税率(8%)と標準税率(10%)の複数税率
となりますので、事業者は消費税等の申告・納税を行うために、税率ごとに区分経理を行う必要が
あります。
現行では、仕入税額控除の適用を受けるためには、法定事項が記載された帳簿及び請求書等の保存が要件とされています。(請求書等保存方式)
平成31年10月1日から平成35年9月30日までの間は、この仕入税額控除の要件について、現行の請求書等保存方式を維持しつつ、その仕入が軽減税率の対象となる資産の譲渡等に係るものか、それ以外のものかの区分を明確にするための記載事項が追加された帳簿及び請求書等の保存が要件とされます。(区分記載請求書等保存方式)
【帳簿の記載事項】
現行の記載事項に加え、課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、その旨の記載が必要となります。
①課税仕入れの相手方の氏名又は名称
②課税仕入れを行った年月日
③課税仕入れに係る資産又は役務の内容(軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
※「軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」とは、例えば軽減税率の対象には「※」などを
記載する方法があります。
④課税仕入れに係る支払対価の額
※アンダーライン部分が追加となります。
【区分記載請求書等の記載事項】
現行の記載事項に加え、次の事項が必要となります。
・課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合にはその旨
・軽減税率と標準税率との異なるごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)
①区分記載請求書等発行者の氏名又は名称
②課税資産の譲渡等を行った年月日
③課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(軽減対象資産の譲渡等である旨)
※「軽減対象資産の譲渡等である旨」とは、例えば品名の横に「※」などを記載する方法が
あります。
④税率ごとに区分して合計した課税資産の譲渡等の対価の額(税込み)
⑤書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
※アンダーライン部分が追加となります。