固定資産を取得する際の固定資産税の精算金の処理について
税理士 林 俊一のコラム(第61回)
土地や建物の固定資産の取得価額には、その購入代価のほか購入のために要した費用の額が含まれます。
固定資産税は、固定資産を取得するために要した費用ではなく、固定資産を保有、維持するための、いわば維持管理費ですので取得価額に算入する必要はありません。
しかしながら、固定資産の取得に際して旧所有者に支払う固定資産税の精算金というものがあります。
これは、取得後の期間に対応する未経過分の固定資産税を旧所有者に支払うものです。
固定資産税は1月1日現在の固定資産の所有者に課されるものでありますので新所有者に課された固定資産税ではありません。
未経過固定資産税は固定資産税ではなく固定資産税相当額に過ぎず固定資産を取得するために支払わなければならない譲渡対価の一部でありますので、固定資産の取得価額に算入する必要があります。
なお、消費税についても譲渡対価とは別に支払う固定資産税の未経過分は、税金ではなく資産の取得の取得対価になりますので、課税仕入れに該当すれば、仕入税額控除の対象となります。