シルバー人材センターからの報酬(配分金)に対する税金
税理士 林 俊一のコラム(第55回)
高齢化社会の到来とともに、定年退職者などの高年齢者が働くことを通じて生きがいを得るとともに、地域社会の活性化に貢献する組織として市町村単位でシルバー人材センター(センター)が置かれています。
センターは、地域の家庭や企業などから仕事を受注し、会員として登録した高年齢者の中から適任者を選んで仕事をしてもらい、仕事量に応じて会員に報酬(配分金)を支払います。
この配分金は、税務上パートやアルバイト収入と異なり給与所得ではなく雑所得として取り扱われます。
これは、センターと会員との間には直接の雇用関係はなく、会員はセンターが引き受けた仕事を請負又は委任の形式で受け、仕事の実績に応じて配分金を受け取る関係にあるからです。
雑所得の金額は、収入金額から必要経費の額を差し引いて計算するのが原則です。
しかしながら、センターからの配分金については、「家内労働者等の必要経費の特例」の適用が認められます。
この特例は実際にかかった経費の額が65万円未満のときであっても所得金額の計算上、必要経費が65万円まで認められるというものです。
この特例に該当する所得しかない人で、その年の総収入金額が103万円以下の場合は、総所得金額が基礎控除額の38万円以下となりますので、ご本人に所得税が課されることはありません。