所得拡大促進税制が拡充されました
税理士 林 俊一のコラム(第49回)
平成29年度税制改正により所得拡大促進税制が拡充され、中小企業者等については、改正前の制度を維持しつつ、前年度に比べ2%以上の賃上げを行う企業について、税額控除を上乗せできることとなりました。
以下の取扱いは中小企業者等の場合です。
【制度の概要】
青色申告書を提出している法人が、給与等支給額を規定の割合以上増加させる等の要件を満たした場合に、雇用者給与等支給増加額の10%を法人税額より税額控除(税額の20%が上限)できる制度です。
【改正前の要件】
要件1⇒雇用者給与等支給額が基準事業年度より一定割合(2%~3%)以上増加していること
要件2⇒適用年度の雇用者給与等支給額は前事業年度以上であること
要件3⇒平均給与等支給額が、前事業年度を上回っていること
※A 適用年度とは、実際に税制の適用をしている事業年度
※B 基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち、
最も古い事業年度の直前の事業年度
※C 前事業年度とは、適用年度開始の日の前日を含む事業年度
上記1~3の要件を満たした場合には、適用年度の雇用者給与等支給額の基準事業年度からの
増加額の10%を税額控除できます。
【改正後の要件】
上記1~3の要件に加え、「平均給与等支給額が前事業年度に比べ2%以上増加した場合」
適用年度の雇用者給与等支給額の基準事業年度からの増加額の10%の税額控除に加え、適用年度の雇用者給与等支給額の前事業年度からの増加額について12%の税額控除を上乗せすることができます。
上記の上乗せ措置は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。