受取配当等の源泉徴収制度の見直し
税理士 林 俊一のコラム(第93回)
令和4年度の税制改正により、一定の内国法人が支払を受ける配当等で次に掲げるものについては、所得税を課さないこととし、その配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないこととされました。
(1) 完全子法人株式等(株式等保有割合100%)
に係る配当等
(2) 関連法人株式等(株式等保有割合3分の1超)
に係る配当等
完全子法人株式等及び関連法人株式等に係る配当等については、法人税法上、全額が益金不算入の対象となり、法人税が課されないこととなっています。
これまでは、配当等の支払の際に源泉徴収を行っているため、①源泉徴収義務者において源泉徴収事務が生じる ②配当等を受け取った内国法人は所得税額控除に係る還付請求手続きが必要になる ③税務署においても多額の還付金等の還付の事務的負担があった
このため、内国法人及び国の事務的負担等をなくすため、上記法人に対する配当等の支払については、源泉徴収を行わないこととされたようです。
なお、適用時期については、令和5年10月1日以後に支払を受けるべき配当等について適用されますのでご注意ください。