所有者不明土地等に対する固定資産税の課税
税理士 高橋 徹 のコラム(第28回)
令和2年度税制改正において、市町村が一定の調査を尽くしても所有者が明らかとならない土地や家屋について、使用者を所有者とみなして固定資産税を課税することができることとなります。
固定資産税の納税義務者は、原則として登記簿上の所有者です。
ところが、最近は地方の地価低迷や人口流出を背景に、相続しても費用と時間のかかる登記をしないケースが全国的に増加しており、その面積は日本の国土の20.1%、九州の総面積より大きいとされています。
固定資産税の納税義務者が死亡しても相続登記がなされない場合、市町村は死亡の事実及び新たな納税義務者となる相続人について戸籍等を調査し特定する必要がありますが、この調査に多大な労力を要し、迅速・適切な課税に支障が生じるという問題がありました。
この問題を解決するため、次の措置を講じることとされました。
① 登記簿上の所有者が死亡し、相続登記がされるまでの間において、現に所有している者
(相続人等)に対し、市町村が条例を定めることにより、氏名・住所等必要な事項を
申告させることができる。
② 市町村は、住民基本台帳、戸籍等の公簿上の調査、使用者と思われる者やその他の関係者等への
質問等を尽くしてもなお、固定資産の所有者が一人も明らかとならない場合には、
使用者を所有者とみなして、固定資産課税台帳に登録し、固定資産税を課税することができる。
この規定は、令和3年度分の固定資産税・都市計画税から適用されます。