教育・結婚・子育て資金贈与特例が2年延長
税理士 高橋 徹 のコラム(第33回)
親や祖父母が金融機関に子や孫名義の口座を開設し、教育資金を一括して拠出した場合に1,500万円まで非課税となる「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」、また、同様に1,000万円まで非課税となる「結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」について、節税利用に対する措置を講じた上で、令和5年3月31日まで2年延長されることとなりました。
これらの特例については、生前の贈与と死後の相続を組み合わせて税負担を軽減できるため、資産格差の固定化を回避する観点から制度の見直しが必要であるとされ、制度の存廃についても検討されていましたが、適用要件を厳しくした上で適用期限が延長されたものです。
1 教育資金の特例
現行制度では、贈与者が死亡したとき、この特例による贈与から3年を経過していれば、死亡時点の管理残額は相続税の課税対象となりませんが、改正後はその死亡の日までの年数にかかわらず、同日における管理残額を相続等により取得したものとみなして相続財産に加算されます(受贈者が、23歳未満・学校在学中・教育訓練受講中の場合は除く)。
また、受贈者が贈与者の子以外の直系卑属である場合には、管理残額に対応する相続税額が、相続税額の2割加算の対象となります。
2 結婚・子育て資金の特例
現行でも贈与者死亡時の管理残額は相続財産に加算され3年以内の条件は付いていませんが、こちらも贈与者死亡時の残額について、受贈者の子以外の直系卑属に相続税が課税される場合には、2割加算が適用されます。
なお、上記改正は共に令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用されることとなっており、本制度の節税効果が大きく減退する改正となりますので、利用に際しては注意が必要です。