納税地の異動と振替納税手続の簡素化
税理士 柏樹 正一のコラム(第47回)
振替納税とは、所得税の確定申告や予定納税、個人事業者の消費税の確定申告や中間申告において、税務署に「口座振替依頼書」を提出すれば、納付日に自分の預貯金口座から自動引き落としで国税を納付する制度で、納付の手間が省け、振替日が納期限の1か月程度後となるものがあり納税資金の確保の幅が広がるなどのメリットがあります。
ただ、転居により他の税務署管内に納税地が変わった場合、昨年までは異動後の税務署に改めて「口座振替依頼書」を提出する必要があったため、勘違いや失念による提出漏れによって納税がされず、異動後の税務署から督促状が届き、滞納が発覚し延滞税が発生するというケースがありました。
この点について、令和2年度の税制改正において、令和3年1月1日以降、振替納税を行っている個人が他の税務署管内へ納税地を異動した場合には、その個人が異動前の税務署に提出する納税地の異動届出書等に、異動後も従来の金融機関の口座から振替納税を行う旨を記載すれば改めて「口座振替依頼書」を提出する必要がなくなり、異動後の税務署に対してする申告等について、引き続き振替納税を行うことができるようになり、その弊害が解消されました。