給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替
税理士 柏樹 正一のコラム(第39回)
令和2年分以後の所得税について、給与所得控除及び公的年金等控除が一律10万円引き下げられるとともに基礎控除が10万円引き上げられました。
この改正は、現在の所得税制度は、学校卒業後、一つの会社で定年まで勤めあげ、年金生活に入るといったライフコースを念頭に作られたものでしたが、近年、特定の企業や組織に属さず専門知識を活かしてフリーランスとして仕事を請け負う、子育てしながら会社員時代に培った技能を活かして在宅で仕事を請け負う、高齢者が長年培った能力や経験を活かし起業支援等の形で活躍するなど「働き方の多様化」が進展してきています。
このような状況を踏まえ、様々な形で働く人を広く応援する等の観点から、特定の収入にのみ適用される給与所得控除・公的年金等控除を一律10万円引き下げるとともに、どのような所得にも適用される基礎控除を同額引き上げる見直しが行われました。
また、この改正に併せ、次のような、各種所得控除を受けるための扶養親族等の合計所得金額要件の見直しが行われました。
- 同一生計配偶者及び扶養親族の合計所得金額要件が48万円以下(現行38万円)に引上げ
- 源泉控除対象配偶者の合計所得金額要件が95万円以下(現行85万円)に引上げ
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配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額要件が48万円超133万円以下
(現行38万円超123万円以下)とされ、その控除額の算定の基礎となる配偶者の
合計所得金額の区分がそれぞれ10万円引上げ