賃貸用マンションの修繕積立金の必要経費算入時期
税理士 柏樹 正一のコラム(第29回)
賃貸用マンションの区分所有者が管理規約に従い、管理組合に修繕積立金を支払うことがあります。
所得税の不動産所得の計算に当たり、この修繕積立金は、マンションの共用部分について行う将来の大規模修繕に充てるため長期間にわたり計画的に積み立てられるもので、実際に修繕が行われない限り支払の基となる事実が発生していませんので、原則的には、実際に修繕が行われ費用の額に充てられた部分の金額について、その修繕が完了した日の属する年分の必要経費に算入されることになります。
しかし、この修繕積立金は、一般的に、区分所有者となった時点で管理組合に義務的に納付しなければならず、管理組合が解散しない限り返還されないものであることから、次の4つの要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えないとされています。
・区分所有者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負う
・管理組合は、支払を受けた修繕積立金について、区分所有者への返還義務を有しない
・修繕積立金は、将来の修繕のためにのみ使用され、他へ流用されるものでない
・修繕積立金の額は、長期修繕計画に基づき各区分所有者の共有持分に応じて、合理的な方法で算出されている
賃貸用マンションを購入した方が、不動産所得の申告をする際には、修繕積立金の内容を確認されることをおすすめします。