保険契約の変更に関する情報を税務署がキャッチ!
税理士 柏樹 正一のコラム(第25回)
平成27年度税制改正によって保険に関する調書の見直しが行われ、本年1月1日以降、保険契約の変更に関する次の情報を税務署が把握できることになりました。
1.契約者の死亡に伴う契約者の異動、解約返戻金相当額
契約者(負担者)が被相続人で、被保険者と保険金受取人が契約者ではない保険契約について、契約者である被相続人が死亡し、相続人に契約者が変更された場合、その時点における解約返戻金相当額は生命保険契約に関する権利として相続税の課税対象になります。
以前は、その内容を税務署が把握できず申告漏れとなるケースがあったため、死亡による契約者の異動明細と解約返戻金相当額を記載した調書が税務署に提出されることになりました。
2.契約変更に伴う前契約者、現契約者の払込保険料、変更回数
契約者と受取人が同じである保険について、保険金が支払われた場合、所得税の一時所得になりますが、所得金額の計算に当たり保険金収入から控除できるのは受取人本人が支払った保険料に限られます。
以前は、契約期間中に契約者変更があった場合、その具体的な内容を税務署が把握できず旧契約者の払込保険料をも控除して誤った申告となっているケースがあったため、税務署に提出される調書の記載項目に、前契約者の住所・氏名、現契約者の払込保険料の額と契約者変更の回数が加わりました。
なお、このようなケースで保険事故が発生し保険金が支払われた場合、本来、旧契約者の支払った払込保険料に対応する部分は贈与又は相続によって取得したものとみなされます。
相続税や所得税の申告に当たり、保険契約の変更があった方は、その内容を吟味することが必要でしょう。