給与所得控除額の上限の引下げについて
税理士 柏樹 正一のコラム(第2回)
給与所得の金額は、給与等の収入金額から一定の給与所得控除額を差し引いて計算します。
給与所得控除は、事業所得の必要経費に相当するもので、勤務費用の概算控除という性格や他の所得よりも担税力が低いことなどを考慮して採用された制度です。
この控除額ですが、平成24年分までは給与の収入金額の増加に応じて上限なく金額が増加していましたが、給与所得者の実際の勤務関係経費に比べ過大気味である、主要国との比較においても高い水準にあるとの理由などから、平成25年分以後は、給与収入が1,500万円を超える場合には245万円の上限が設けられました。
この点について、次のとおり給与所得控除額の上限が更に引き下げられました。
- 平成28年分は、給与収入1,200万円超の場合は230万円を上限とする
- 平成29年分以後は、給与収入1,000万円超の場合は220万円を上限とする
従いまして、給与収入がこれらの金額を超える方は、今後、所得税の負担が増えることとなります。