特殊詐欺と税の壁
税理士 柏樹 正一のコラム(第1回)
オレオレ詐欺や架空請求詐欺などの振り込め詐欺をはじめとする
特殊詐欺による被害が連日のように報道されていますが、
昨年は被害総額が全国で559億円にのぼり、過去最悪となっています。
【所得税】では、個人の資産が「災害、盗難、横領」によって損失を受けた場合、雑損控除として所得金額から控除されますが、詐欺による損失は除かれています。
その理由は、雑損控除は「災害、盗難、横領」という自分の意思に基づかないことが客観的に明らかな場合の損失に限定しており、詐欺の場合、だまされたという意思決定の過程に瑕疵はあるものの、自分の意思に基づいて行われたものなので対象にならないと言われています。
少し酷な気もしますが、所得税では、自己責任が求められているようです。
特殊詐欺については、警察をはじめ金融機関や国民生活センターなどでいろいろな取り組みを行っていますが、残念ながら被害は増加しています。
年の瀬を迎え何かと慌ただしい中、このような被害にあわないためにも、
家族のコミュニケーション・絆を大切にしておきたいものです。