「マイナンバー制度」について (その1)
税理士 古御堂 弘のコラム(第23回)
「社会保障・税の共通番号(マイナンバー)法」が平成25年5月に可決成立したことは、すでにご承知のことと思います。
最近のNHKの調査によると、このマイナンバー制度について知らない又は名前は聞いたことはあるが内容まではよく知らないと答えた人が大勢おりました。
今年の10月から全国民に対し、個人番号及び法人番号を記載した紙の「通知カード」の送付が始まり、平成28年1月から順次個人番号及び法人番号の利用が開始されます。
個人情報の保護等に課題があるといわれておりますが、個人の方ばかりでなく事業者にも重要なことですから、おさらいの意味も兼ねましてこのブログでご紹介したいと思います。
なお、ボリュームの関係から数回のシリーズにします。
☆ マイナンバー導入のねらい
① 個人情報の一元管理
社会保障分野、税分野、災害対策分野など複数の行政機関に
存在する個人情報をマイナンバーで一元管理することにより、
国の機関同士や国と地方公共団体の連携による、相互交換を可能とするような仕組みを作る。
② 社会保障制度のトータル管理
マイナンバーで、各人の年金や雇用保険等の資格取得や確認の手続きを行うほか、相談や
紹介手続きに活用する。
③ 社会保障の給付過誤などの防止
番号の付番により、年金などの社会保障の給付過誤や給付漏れ、二重給付などの防止にも
活用する。
④ マイポータルによる国民の利便性向上
自宅のパソコン等から確認ができるマイポータルでは、「給与・報酬情報」や「年金保険料、
国民健康保険料、国民健康保険料等の社会保険支払情報」、「株式配当・譲渡損益、」保険満期
返戻金、保険年金等の金融所得情報」、「過去の税務申告・納付情報」が表示される。
これにより、確定申告の準備で各種領収書等を収集する手間が軽減される。
⑤ 公平な納税負担を実現
税務当局が保有する各種所得情報について番号を利用し、正確かつ効率的に名寄せや
突き合わせをすることにより、所得の過少申告や無申告、税の不正還付を効率的に防止、
是正することができる。これにより、国民の公平な納税負担の実現を目指す。
⑥ 給付付き税額控除の導入
低所得者層の消費税負担の軽減を図るために「給付付き税額控除」税制の導入を考えられる
が、実際に公平で正確な「給付付き税額控除」を実施する上で、マイナンバーの付番による
各人の正確な所得の把握が必要である。
次回は導入のスケジュールを紹介します。
苫小牧事務所 所長 古御堂 弘