100年企業をめざす「事業の承継」(第80回)
81.株主代表訴訟を防止する方法はありますか?
POINT
1 ► 「会社の正義を守る」株主代表訴訟のはずが |
2 ► 株主代表訴訟を防止するために |
◎ ———— 「会社の正義を守る」株主代表訴訟のはずが
株主代表訴訟とは、1株以上の株式を保有している個々の株主に、その企業の経営者などに対する権利を行使する訴えを、企業に変わって提起することを認めるものです。
企業の被った損害の回復という目的の他に、会社法の制度などを通じて、経営者などの独走や暴走、組織ぐるみの違法行為などを防止する機能もあります。
株主代表訴訟は、13,000円という低額費用で訴訟が可能です。
中小企業においては、経営権の争いなどの結果に取締役への
不満のはけ口として、訴訟を起こす事例も出てきています。
経営者などのゴルフ接待や飲食代、高級外車の購入などが
「企業の利益を減少させた」などの理由で標的とされます。
「会社の正義を守るため」という建前を武器に、株主の1人として「あなた(取締役)は
会社に損害を与えたので、会社に対して弁償しなさい」と訴えてきます。
訴訟を起こす側には、株主代表訴訟による直接利益はありません。しかし、低額で訴訟を起こすことができ、争っている役員に損害賠償を負わすことや名誉を失わせることが可能です。
中小企業の株主代表訴訟は、身内による事が多く、訴訟になる前の内部情報が漏れて、訴訟を起こす側に有利な場合があります。特に、取締役会や株主総会を開催せず「開催したことにした」場合に、法的証拠が残っていなく、経営陣が負ける可能性が高い訴訟となります。
株主代表訴訟を起こされない対策として、次が挙げられます。
① 自社株を第三者(経営者と後継者以外)に持たせない
② 公私混同を行わない
③ 法令遵守を意識した経営
④ 単元株制度の導入
企業が単元株制度を導入し、定款で単元未満株主について定めることで、株主代表訴訟の提起権限がなくなります。
次回タイトル
【分散株式と名義株式を承継前に処理した方がいいですか?】
H28.6.15更新予定です。 どうぞお楽しみに!