背広の支給による経済的利益の税務上の取扱い
税理士 林 俊一のコラム(第105回)
会社の役員又は従業員に職務を行う上で必要であるとして、背広を支給した場合、役員又は従業員が受ける経済的利益について、源泉所得税が課税されるかどうかです。
制服、事務服等の支給については、職務の遂行上欠くことができないものであると同時に、その給付は使用者自身の業務上の必要性に基づくことが多い。
このため、給与所得者に特別な利益を与えるものではなく、役務提供に対する対価という性格が極めて薄いことから、一定の制服の支給を非課税として取扱うこととされています。
※非課税とされる制服等の範囲
1 所得税法上非課税とすることを予定しているものは、例えば警察職員、消防職員、自衛官など
の組織上当然に制服の着用を義務付けられている一定の範囲の者です。
2 さらに、必ずしも職務上の着用義務がそれほど厳格とはいえない事務服、作業服等についても
非課税として取扱うこととされています。
事務服、作業服等の支給が非課税とされるためには、①専ら勤務する場所において通常の
職務を行う上で着用するもので、私用には着用しない又は着用できないものであること
②事務服等の支給が、その職場に属する者の全員又は一定の仕事に従事する者の全員を対象と
していることが必要です。
以上のことから、背広の支給は、一般的に私用にも着用できることから、職務の遂行に当たり現に着用されているものであっても、非課税とされる制服等には当たらないと考えられます。